第217章

男二人が視線をぶつけ合うと、そこには火花めいたものが散った。

田中辰哉が淡々と言う。

「……俺の身の上、ずいぶん気にしてくれるんだな」

「兄貴なんだから、気にするのが普通だろ?」

「それより、自分の心配でもしてろ」

田中尚哉は薄く笑った。だが、その目は冷え切っている。

「俺が何を心配するんだよ。おじいちゃんが言ってたろ。俺は今、何も問題ないって。むしろ兄貴のほうが独り身で、いつも周りに心配かけてる。誰か傍で世話してくれる人が必要だよ。兄貴ほどの家柄なら、名門の令嬢……王国の王女とかさ」

そういえば、王政の国が一つある。国王に息子と娘がいて、娘は蝶よ花よと育てられた姫——そんな噂...

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